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「気がつけば認知症介護の沼にいた。」2023年11月20日(月)発売決定!

2022年2月22日より募集を開始した、「気がつけば○○ノンフィクション賞」の第1回目の受賞作「気がつけば生保レディで地獄みた。」発売から約半年が経過しました。

本日は、シリーズ化を目指して始められたこの

プロジェクトの、第2弾の発売が決定したのでお知らせをさせていただきます。

シリーズ2作目のタイトルは、「気がつけば認知症介護の沼にいた。」

こちらは、第1回「気がつけば○○ノンフィクション賞」にご応募いただいた166の作品の中にあった1本で、当初は最終選考にも残らなかった作品なのですが、編集者と共にブラッシュアップさせることで、出版にまでこぎつけた作品になります。

本記事では、作品の内容だけでなく、第2弾がどうやって誕生したのかについても綴らせていただきます。

書誌情報

画像クリックでAmazonページに飛びます。

 

「気がつけば認知症介護の沼にいた。もしくは推し活ヲトメの極私的物語」
出版社:古書みつけ
著者:畑江ちか子
価格:1500円+税
ISBN:978-4-9912997-0-4

YouTubeにて、予告ムービーも公開しておりますので、あわせてお楽しみください。

 

古書みつけの次なる挑戦は「認知症介護」の世界

Amazonの概要欄では、「30代推し活ヲトメが『2040年問題』と対峙する!」と勢いよく口火をきって本書の紹介が始まりますが、本記事でもまずは書籍の内容をご紹介させてください。

きっかけは、認知症介護の「グループホーム」の職員たちが、祖父を看取ってくれたことだった。

オタク歴20年、社会人歴10年。
「推し=人生」と豪語する推し活ヲトメが、
「認知症介護」の世界に迷い込む……。

祖父を看取ってくれた「グループホーム」と同じ形態の施設へと転職を果たした著者。

出勤初日に衝撃が走る!
施設利用者のキノコさんから手渡しでプレゼントされたものは、
なんと、ゴルフボール大の「便=U・N・CHI」だった――――!!!!!!!!

怒涛の勢いで、次から次へとちか子を襲うスペクタルなドタバタ劇!

・昭和一桁生まれのガンコジジイによる軍歌リサイタルで耳に異変
・90歳ハイソレディからの強烈ビンタ
・「易怒性(いどせい)」強めな激おこ淑女からの口内食物噴射
・80代のおじいちゃんの口説き文句で乙女心強奪
・病院内で「売春婦!梅毒!」と叫びまくるおばあちゃん
・よりによってお餅を差し入れしてくる迷惑家族
・ついにきた!新型コロナウイルス感染症との戦い

・老人同士の殴り合い!リアルファイトクラブ勃発
・圧しツヨ上司からの秘儀「労災封じ」
・センサーと身体拘束と虐待問題
・労働基準監督署に駆け込むと脅すハラスメントなモンスター新人
・深夜のお看取り一部始終
・夜勤明けの缶ビールと汁なし担々麺
・食べられなくなっていく利用者と食べることが大好きな自分の狭間で感じたこと
・優しく支えてくれた利用者さんとの別れ……etc.

極めつけはコレ!

夜勤中に起きた大事件!
「バカ女、殺す」「包丁で首切って殺す」「殺す!」
まさに介護の現場は命がけ!?

認知症介護の世界でよくいわれる、「その人に合った介護を提供できていない」とはどういうことなのか?

〝超〟が付くほど真面目で感情移入しがちな性分の著者は、バラエティーが豊かすぎる施設の面々との戦いの日々に身も心もズタボロに……。

とはいえ、どんなに辛くとも、推し(乙女ゲームのキャラクター)は、私に「愛している」と言ってくれる……。

だから大丈夫。家に帰れば、いくらでも彼に会える……。
そうやって自分を鼓舞し続ける日々が、少しずつ彼女の意識を変えていく――。

「いつでも辞めたい、でもなんだかんだそこそこ楽しい」
「人生のラストステージを任される仕事」
「毎日がラスボス戦(だから経験値もいーっぱいもらえるよ)」

各メディアでも取り上げられることが多くなってきている認知症介護の現場を、批判でも暴露でもなく、人生の先輩たちへのリスペクトと愛をもって丁寧に綴りきった、まさに〝笑いあり涙あり〟の人間ドラマノンフィクション!

コミュ障で奥手だった著者が、認知症介護と向き合うことで、〝図々しさ〟に近い生きる力を身につけていく……。

この現象を「沼(ゲームやアニメなどの作品にどっぷり〝ハマって〟しまう様子)」と呼ばずして何と呼ぶ!?

ドラッグロック、ボディチェック、経腸栄養剤、ムース食、陰洗ボトル、尿取りパッド、リハビリパンツ、下顎呼吸……etc.認知症介護業界の専門用語もしっかり解説しています。

いかがでしょうか?

こちらの紹介文自体のが圧がハンパなしと感じてしまうやもしれませんが、それだけとにかく濃ゆい人間ドラマがこの1冊に凝縮されているのです。

本書の内容がよくわかる一文をピックアップ

心にザクッとささる名言、名文というよりは、著者が「私って間違ってる?」「これっておかしくない?」「もう限界じゃー!」と自問自答、七転八倒する姿が沁みます。

本書全体の醸す雰囲気がどんなものなのか、それがわかる一文をいくつか羅列しますので、世界観に触れてみてください。

 

 可愛がってもらった孫として情けないが、私は施設の職員さんたちの泣き顔を見て、ようやく泣くことができた。
泣きながら「お前が死ねばよかったのにな」と言った祖父のかつての上官のことを考えた。「101歳まで生きちゃいましたよ、この人……」と、叶うことならば、会って言ってやりたい気分になったのだ。

 

「あんた、どこの人?」
しばしば、トミさんはこの質問を投げかけてくる。〝しばしば〞というのは、何度このやりとりを繰り返しても忘れてしまうからだ。
ここで、東京・神奈川以外の地名を口にしようものなら、たちまちトミさんの天下である。
「田舎の出か!」「どうりで貧乏くさいと思った」「かわいそうに」「学校もロクに行かせてもらえなかったんでしょう」……など、ヒデー言葉の弾丸でハチの巣にされるのだ。

 

 今日のキヨエさんは、黙々とごはんを食べてくれる。
 良かった……と、ホッとしたのも束の間、状況は一変することになる。これまで着々とおぼんの上のものを食べ進めていてくれたキヨエさんは、突然私の顔に口の中の食べ物を吹き付けてきたのである。

 帰宅すると、家族はもうみんな寝ていた。
リビングのテーブルの上に、「今日は冷やし中華です。冷蔵庫に入ってるヨ」というメ
モ書きがある。母の字だった。
(はぁ、疲れた……)ラップを外して冷やし中華を食べようとしたとき、私はトドメを刺されたような気持になった。
 母が作ってくれた冷やし中華は、冷蔵庫の中で私の帰りを待つうち、麺がくっついてカチカチになり、フリスビーのようになっていたのである……。
 私はついに泣いた。
 なんだかもう訳がわからなかったけれど、ただただ辛かった。冷やし中華はすすらずに、ちぎって食べた。

 

 そのとき、ヒメコさんはもう一方の手を私の腕に伸ばした。そして、キヨエさんに叩かれて真っ赤になったところを、摩擦で熱くなるほど一生懸命さすり始めた。
 あっという間に私の目頭は熱を持った。視界が歪んで、ヒメコさんの顔が見えなくなる。ボタリ、ボタリと涙が床に落ちていった。
 昨日たくさん泣いたというのに、私の涙は止まらなかった。次から次へとあふれる涙は、昨日流したものよりも熱かった。
 「ありがとう」
 私の声はヒメコさんに届いただろうか……。届く前に、涙と一緒に床に落ちてしまったような気もする。

 

 「あんた……可愛い耳してるなぁ」
 ドキ――――――ン!!
 不覚にも、私はときめいてしまった。
 およそ0.5秒で、仁科さんの一言は、「お前、可愛い耳してるな……」「耳まで真っ赤だ……」「もしかして、恥ずかしいのか?」というような俺様セリフ&ボイスに変換され、私の脳内を駆け巡った。
 え、待って、もしかして仁科さんって俺様キャラなの? 攻略しないと……っていやいや、職場のCERO(ゲームのパッケージに対象年齢を表示したレーティングマーク)が上がっちまうっつーの!!
 30年以上生きてきて、今までこんなことをリアルの男性に言われたことはなかった……。その初めてを、80代のおじいさんに奪われるとは、誰が予想できただろう……。

 

 介護施設では、①切迫性(本人や他の利用者の生命、もしくは身体に危険が及ぶ場合)、②非代替性(拘束をする他に方法がない状態)、③一時性(一時的な拘束であること)、この3つの条件を全て満たさない限り、身体拘束は禁止されている。
 加えて、やむを得ず身体拘束をする場合は、職員間でカンファレンスを実施し、本当にそれしか手段がないのか検証しなくてはならない。それでも身体拘束しか方法がないと判断された場合は、利用者本人とその家族にきちんと事情を説明し、同意書にサインをもらわなくてはならない。
 これらがひとつでも欠けた状態で身体拘束を実施することは、虐待にあたる。身体拘束は、利用者の生活の質を下げるだけでなく、認知症の悪化につながるおそれもあるため、本当の本当の最終手段であると考えてもらっていい。

 

 ヨウさんは、利用者の中で食べるスピードが一番速い。なので、食形態は「主食:お粥 おかず:極刻み(5ミリほど)」だ。おかずをごはんの上に乗っけてかき込むように食べるので、むせ込みも多い。兄弟が多かった子ども時代を過ごしたおかげで、おかずを横取りされないよう速く食べるくせがついてしまったのだという。
 そんな彼に、大好物のお餅を与えたらどうなるだろう。
 どう考えても、やはり私は「死」というワード以外、思い浮かべることができなかった。

 

 その先生は、「自分は実の親を介護することはできない」と言っていた。
 昔をよく知っているだけに、自分の親が変わっていくことを受け入れられない。他人への介助の場合と異なり、仕事だからと割り切ることもできない。他人だからこそ、介護する事ができる……介護職を経験した今ならば、この言葉の意味がよくわかる。きっと、もがくほどきつく締まる縄で縛られたように、実の親だからと一生懸命になった分だけ、苦しみの縄で締め付けられてゆくのではないだろうか。

 

 たとえば、便失禁をした利用者がいたとする。
 水っぽい便で、お尻だけでなく下肢全体にわたって便で汚れていたとする。そうすると我々介護職は、まず陰部〜下肢をキレイにしてあげなくてはいけないわけだが、利用者は便を失禁してしまったことに対してパニックを起こしていたりもする。私だって、自分がいきなり便を漏らしてしまったら大混乱するだろう。そして、そんなの他人に絶対見られたくないし、ましてや人にキレイにしてもらうなんてしんどすぎる。
 だから、パニックを起こして大騒ぎするのは仕方のないことだ。そんな利用者の気持ちを落ち着かせるために、「キレイにしに行きましょう」「このくらい大丈夫、何の心配もいりませんよ」「私に任せて」……と声をかけながら、何とかお風呂場まで連れて行く。

 

 「ロウキ行きますよ!!」
 一瞬、私は彼女が何を言ったのかわからなかった。その顔は真っ赤になり、涙が頬を伝っている。
 「えっと……ロウキって、労働基準監督署のことですかね……」
中島さんは、呪文のようにロウキ、ロウキ、と言い続けた。
 私も心の中で、「キレちゃダメだ、キレちゃダメだ」と、怒り、いや、碇シンジのように呪文を唱え続けた。ちなみにエヴァだと私は加持さん推しである。

 

 しかし実は、私にはもうひとつの動機があった。
 ……志望動機というよりは、モチベーションと言ったほうが良いかもしれない。しかも、自分で言うのもなんだが、かなり常軌を逸したモチベーションである。
 それは、「ある日突然、聖飢魔Ⅱの皆さまが入居してきても、慌てたり戸惑ったりせず、最適なケアを提供できるような介護士になりたい」だ。
 これはいったいどういうことか、詳しく書いていく前に、まずは私と「聖飢魔Ⅱ」について語りたいと思う。

 

 そう、何より最高なのは、明けの開放感だ。
 もうこのあとは、何をするのも自由……と思うと、私はついつい近所のコンビニで、缶ビールと汁なし担々麺を買ってしまう。体に悪い、太るとわかっていても、これだけはやめられない。
舌を刺すような辛味を、ビールで一気に流し込む……想像すると、今このときでさえコンビニに走りたくなる。それくらい、たまらない瞬間だ。
 ちなみに、他のおつまみは基本的には買わない。担々麺は汁なしをチョイスすることによって、これ以上ないほどのおつまみになるからだ。

 介護施設での事故は様々あるが、代表的なのはこのような転倒事故だろう。転倒の定義は、「自分の意思に反して、足底以外の身体の一部が地面あるいは床につくこと」なのでこの場合のキノコさんはしっかり転倒したことになる。
 事故にはこのような転倒事故以外にも、ベッドからの「転落」や、他の利用者の薬を間違って飲ませてしまったという「誤薬」、利用者がひとりで勝手に施設を出て行ってしまったという「離設」、食べものでないものを食べてしまったという「異食」……など、書ききれないほどの種類がある。

 

 私は子どもの頃から宵っ張りだった。
 夜ふかしをして楽しむことは、たくさんあった。
 ・自分が世界最強の殺し屋だったら、という妄想
 ・自分が世界最強の陰陽師だったら、という妄想
 ・授業中の教室に武装集団がカチ込んで来て、それを自分が華麗にブッ倒す、という妄想
 ・自分が好きな漫画やアニメのキャラと付き合っていたら、という妄想
 ・右記のような妄想を小説の形にしてノートに書き散らかす
 ・右記を読んでニヤニヤする
 ・映画のビデオを見る
 ・聖飢魔Ⅱの活動絵巻教典(ビデオ)を見る
 ・聖飢魔Ⅱの教典(CD)を聴く
 ・マリスミゼルのビデオを見る
 ・マリスミゼルのCDを聴く
 ……書いていていたたまれなくなってきたので、このへんでやめる。

 

お気づきになった方もいらっしゃるかと思うが、そういう意味で言えば、実は介護の仕事は私にとって〝推し活〞の一環なのであった。

 

と、まぁ、ここまでの情報がまだ2章分、あまりに濃ゆくてお腹いっぱいになりそうなので(笑)、あとは本書でお楽しみいただくことにいたしましょう。

魅力あふれる登場人物

主人公である、畑江ちか子(著者)だけでなく、彼女をとりまく登場人物たちこそ、強烈な魅力を光らせています。映像化しやすいインパクト!

畑江ちか子……著者。乙女ゲームをこよなく愛する推し活ヲトメ。食べることが大好き。

森田さん……直属の上司で施設長。仕事はデキるが、いちいち癇に障る嫌味を言う特技をもつ。

キノコさん……マッシュルームカットのかわいらしい淑女。ちか子初出勤の際に「うんこ」をプレゼントしてくれた。

山本さん……昭和のガンコジジイ。ジャイアンのような軍歌リサイタルを頻繁に実施。怒りん坊。のちにとある大事件を引き起こす。

トミさん……都会至上主義のハイソレディ。ちか子は、〝お嬢様にお仕えする従順なメイド〞になりきって対応にあたる。

キヨエさん……ヘレナ・ボナム=カーターが歳をとったらこんな感じかな?という美人さん。「易怒性」が顕著。暴力行為も日常茶飯事。

ヒメコさん……元小児科医の先生。精神崩壊しかけていたちか子を救ってくれた。

ハナさん……元気いっぱいのおばあさん。重くて暗い過去をもつ?

ヨウさん……四か国語をあつかうスーパーグローバルじいさん。のちにとある大事件を引き起こす。

仁科さん……スーパージェントルマン。のちにとある大事件を引き起こす。

吉見さん……50代半ばの派遣社員。介護歴30年以上のベテランだが……。

中島さん……22歳の新人。業界未経験とは思えないほど利用者とのコミュニケーションが上手。

児玉さん……26歳、ちか子にとっては年下の先輩。初めての看取りを共に経験する。

ミエさん……2時間睡眠でフルパワーチャージ。独特の独語を繰り出す。

田代さん……計算問題が得意。そろばんを使いこなすため難しい暗算でもお手の物。食事前に入れ歯を外しがち。

いやはや、濃ゆい!

ちなみに、認知症介護の日々を綴ったベストセラーボケ日和(長谷川 嘉哉/かんき出版)は、認知症の進行具合が絶妙な筆致で語られていて、とても楽しく、最後まで一気に読めました。

そして、我らが『気がつけば認知症介護の沼にいた。』にも、様々な症状をもつ施設利用者さんたちが登場していますので、きっと、また違った視点で楽しめる内容に仕上がっていると思います。

『ボケ日和』を読了した方たちにもぜひ読んでいただきたい一冊です。

装画および挿画は第1弾と同じくなかむらるみ

本文掲載のイラストを惜しげもなくここでお見せしておりますが、装画&挿画を担当するのは、前作同様、イラストレーターのなかむらるみさんです。

ベストセラー書籍おじさん図鑑や東京新聞での連載など、独特のタッチに味があり、今回も、気がつけばシリーズの世界観を確固たるものにさせる最高の絵を描いていただきました。個人的にはおじさん酒場が大好物です。

そして、前作と同じように本作でもやってみます。

私のイチオシのカットイラストは、こちら!

いったいどんなシーンなのかは、本作をお読みいただきお確かめください。

帯文は『だめんず・うぉ~か~』の倉田真由美さん

きっかけは私がダメ元で送ってみたDMでした。

現在、公募中の第2回「気がつけば○○ノンフィクション賞」の最終審査員を新たに捜索しているとき、だめんず・うぉ~か~の著者・倉田真由美先生のX(旧Twitter)を拝見し、自身の活動には全く関係ないにもかかわらず、様々なメッセージ性の強い言葉を頻繁にあげていることに感銘を受け、ぜひ、この方に最終審査に加わっていただけないかと思い、連絡してみたのです。

「お仕事はDMで」と書かれていたのを見て、とはいえ、まったくつながりがないわけなので難しいだろうなーと思っていたところ、まさかの数分で返事が……。

「おもしろそう! やる!」とDMでご快諾いただき、新たな最終審査員として仲間に加わっていただきました。

さっそくお会いして打ち合わせをさせていただいたところ、いろいろな共通点や知り合いがいたことから意気投合、気がつけば、がっつり呑んで語って楽しい飲み会まで開いていました(笑)。

現在、公募中の「気がつけば○○ノンフィクション賞」の最終審査員もつとめてくれることになっております。

しかも、くらたまさん、じつはWeb上でお尻ふきます!!という漫画を連載していまして(※芸人「さかまき」さんの実体験を漫画化)、介護現場の今をユニークな視点で描いています。

それだけでなく、みんなの介護という介護業界では知らない人はいないウェブメディアにて、認知症介護にかかわる様々な著名人との対談コーナーをもっているのです。

そう、気がつけば○○賞の最終審査員にして、さらに介護業界についても相当な知識と見識をおもち……ということは、本作の帯文のお願いしないわけにはいかないでしょう!

ということで、意気投合した勢いそのままに、帯文もお願いしたうえに、なんと2024年1月には「高田馬場 芳林堂」さんにてトークイベントも開催することが決まったのです。すごい!!!!!

数ある「認知症介護」本のなかでも異色

生命保険業界の闇を綴った第1弾「気がつけば生保レディで地獄みた。」は、おかげさまで様々なメディアにとりあげていただき、今でも順調に読者のもとの届いております。

では、なぜ、第2弾では、「認知症介護」をお題としたのか、そのあたりはひも解いてみましょう。

マンガでわかる!認知症の人が見ている世界」など、認知症にかんする書籍は年々増えていて、注目度が高い業界だということがわかる。

応募作品166のうち、最終選考に残った作品は4つでした。

いずれもすぐにでも出版できるほどに構成も文章も洗練されていており、今でもそれらのラインナップを出版することもあきらめてはいません。

ですが、最終選考には残せなかったけれど、お題としてインパクト大だったのが本作だったのです。

認知症にかんしては、日々、様々なメディアでとりあげられ、新聞で見かけないことはないのではないかというほどに、私たちにとって身近なものとなってきています。だからこそ、『気がつけば認知症介護士になっていた。』と題された応募作は魅力的であり、これは可能性あるぞ! と、何かビビッとくるものを感じたのです。

とはいえ、応募作品自体は、原稿のボリューム自体が足りていなかったり、内容にかんしてもまだまだ深く掘り下げられるというものだったので、私のほうから彼女に声をかけさせていただきました。

「さらに深堀りすることができるならば一緒に出版を目指しませんか?」と。

この本にかけるおもいが強かったのか、彼女からは即OK。

そして古書みつけに来ていただき、ひたすらにグループホームでのエピソードをインタビューし、彼女が隠し持っている引き出しをこれでもかとかきだす作業をいたしました。

もちろん、それだけでは足りないので、さらに経験値を積んで、書きたいこと、伝えたいことを、明確したほしいという旨を伝え、一度、現場に戻ってもらったのです。

そういった流れを経てあがってきた2稿目を読んで確信しました。

「これは出版しなければウソじゃん!」と。

もちろん、そこからもさらなるブラッシュアップを繰り返し、どこに出しても恥ずかしくないお子へと成長させることができました。

そこで、私が本作を読んで、古書みつけで出版しなければ! と思えた理由をいくつか列挙してみます。

①稀少性→認知症介護の世界を扱う本は多々ありますが、グループホームを舞台に、現役で働いている方が現場の様子を綴るタイプの書籍は見かけていない(自宅での奮闘記などはある)。

②社会的意義→認知症はもはや日本中が注目する話題で、治療薬の開発など、常に社会のなかで、様々な分野のひとたちが活躍しているため、ひとつの現場から見えてきた世界というのは、認知症にかかわるあらゆる人にとって社会的意義のあるものになる(※と、いうのは建前で、本音でいえば、とにかく面白ければ社会的意義などはなくてもよいとは思っている。って、前回は書きましたが、最近はここもとても重要な項目だなと感じていたりもする)

③メッセージ性→今回の本は、認知症介護の世界の闇をあぶりだすというよりは、認知症介護の世界の現実を知っていただき、いかにこの現場・仕事が必要なことなのかを伝えるものに仕上がっている。著者自身の自問自答はそのまま読者の方々への問いかけにもなっているため、本書を題材に様々な話し合いができるはず。

④エンターテインメント性→生保レディと同様に、映画化、漫画化への期待がもてるエンタメ性を内包している。乙女ゲームが好きな彼女は、エンタメ不要論に対しても異議を唱え、エンタメ超必要論をといており、そういう意味で本作も超絶エンタメな仕上がり!

⑤読みやすさ→著者と話し合いを繰り返し、本作はとにかく読みやすさ重視のつくりにしているため、読書が苦手な方でも間違いなくスラスラと読める仕上がりになっている。

以上。

今後の作品にかんしても、上記のような項目をクリアしたものを、気がつけばシリーズとして皆様のもとにおくりだせたらと考えています。

認知症介護の世界の今

前述しましたが、本書でとりあげられている認知症介護現場のアレヤコレヤは、認知症介護になんらかの形で関係している人ならば、誰もがそれについて考え、話し合いたくなる内容です。

ですので、今回は本書が発売したあとも、認知症介護をテーマに活動しているあらゆる人たちとトークイベントを実施したいと考えています。

現在、出版記念イベントは古書みつけでの読書会、12月にはグループホームを経営する方やケアマネジャー事務所を運営している方など、現場の人たちとのグループセッションを企画中、さらに1月は前述したように、帯文を寄せてくださった倉田真由美先生とのトークイベントの開催が決定しています。

※注:写真はあくまでイメージで著者近影ではありません。

それに留まらず、都議会議員や著名人とのトークもできないかと模索していて、この本をきっかけに認知症介護の世界を歩くことができたら、なお素晴らしい企画になると信じています。

「気がつけば○○」シリーズとは?

「気がつけば生保レディで地獄みた。」のランディングページともかぶりますが、最後に、気がつけば○○賞のルーツをご紹介させて頂きます。

そもそものはじまりは、約20年にわたって編集者として活動してきた伊勢が、気がつけば警備員になっていた。(堀田孝之/笠倉出版社)という書籍の編集を担当したことがきっかけとなります。

ある日、私の母校、日本映画学校時代の友人である堀田氏から、彼が綴ったという原稿を渡されました。そこには、ふだんは陽のあたらない職業である警備員の実情が、悲しみや憎しみを含みつつコミカルに描き出されていて、その筆力、表現力に魅了され、私はどうしてもこれを書籍化させたいと思い、様々な出版社に営業をかけることで出版化が決まった一冊でした。

個人的にはとても満足のいく本がつくれたと感じていて、可能であれば、これをシリーズ化できないかと考えました。

が、現実は甘くなく……。出版社が書籍に強い版元ではなかったり、営業やプロモーション不足など、イチ編集プロダクションができることは限られていて、広くこの本を伝えることができなかったこともあり、売り上げは芳しくなく、シリーズ化の夢は潰えてしまいました。

けれども、私のなかでは、エンタメとしてだけでなく、社会的にも意義ある一冊だったと思っていて、これからもそういった光のあたらない職業や人、生き方というものに耳を傾け、彼、彼女らの物語をたくさんの人に伝えたいという想いが強くなっていきました。

私たち映画学生の大先輩・新藤兼人先生の言葉にこういうものがあります。

「誰でも脚本家になれる。それは自分のことを書けばいい。誰よりリアリティーがある作品、傑作が書ける」

つまり、有名人でなくとも、世界中にいるどこかの誰か物語は、十分に1本の映画にもなりえる……。

そこに気がついたとき、気がつけば、「気がつけば○○賞」というお題が閃いていたのです。

たくさんの「気がつけば○○」を集めるにはどうしたらいいか? 答えは公募でした。そして、自らを出版社化するという道を選ぶことで、自分のやりたいことを実現させようと考えました。

2021年、事務所の1階に古本屋「古書みつけ 浅草橋」をオープンさせたことも、実は、このプロジェクトへの布石であり、『気がつけば生保レディで地獄みた。』の出版をもって、「古書みつけ」という出版社が産声をあげたのです。

そう、古書みつけ自体もまた、「気がつけば出版社になっていた。」であり、みつけの物語はこれから綴られていくことになります。

そんな古書みつけの出版社としての想いは、以下の「古書みつけ宣言」に綴っていますので、ご一読いただけると幸いです。

【古書みつけ宣言】声なき声に耳を澄ませば……絶望に効く生き方

ベストセラー「日記シリーズ」に憧れて……

実は、「気がつけば○○」シリーズ創設のきっかけとなったものがもうひとつあります。

それは、三五館シンシャという出版社で発売されている、中・高齢者の職業体験を綴った「日記シリーズ」との出会いです。

これも生保レディのランディングページとかぶりますが、この記事が初という方のために、そこについても重ねて書かせていただきます。

大ベストセラーとなったシリーズ第1作目の交通誘導員ヨレヨレ日記 当年73歳、本日も炎天下、朝っぱらから現場に立ちます(柏耕一)を皮切りに、以降の作品も出版するたびに軒並み好調な売り上げを誇るなど、書籍が売れない現代において目覚ましい勇姿を見せてくれています。

この出版社の活躍を見ていると、「出版不況って何?」という感覚にすらなります。

ちなみに、この作品は、〝老後2000万円問題〟のタイミングで発売されたこともあり、話題となって瞬く間にたくさんの読者のもとに届けられました。そして、その後、60代、70代の就業実体験を綴っていくことシリーズとなっていくのです。しかも、書くのはあくまでも本人で、三五館シンシャの代表である中野長武氏は、「いくら内容が面白くても、書けないという人の本は作りません」と、インタビューで答えています。このこだわりが数々のヒット作を生み出す要因となっていることは間違いないでしょう。

そう、以前から追いかけていたこの「日記シリーズ」を参考に、どうにか私が思い描く、新たなるノンフィクションシリーズをつくりだせないものか……。それを、ひたすらに熟考したことで生まれたのが、「気がつけば○○」でした。

とはいえ、ただただこの「日記シリーズ」を模倣するのでは、出版社を立ち上げる意味がありません。

そこで、「日記シリーズ」が60代、70代の就業実体験ならば、「気がつけば○○」は世代や職業にはこだわらず、あくまでも「弱者の叫び」を発信すること、これをテーマにシリーズ化にしていこうと考えました。

そして、イラストは、親しみあふれつつちょっぴり可笑しいテイストを醸し出せるなかむらるみさんにお願いし、表紙も「日記シリーズ」とは異なるテイストで勝負をかけることにいたしました。

「喜劇と悲劇は紙一重」とはよくいったものですが、マイノリティだからといって総悲観するのではなく、そんな自分の物語を悲しみや憎しみを内包しつつもコミカルに綴ってほしい、という願いも込めていたりします。

ちなみに、表紙をつくる際、私がデザイナーさんに注文したことは……。

「ヴィレッジヴァンガードに置いてありそうな表紙にしたい!」でした。

思えば、最終審査員をお願いした新井英樹先生の名作「ザ・ワールド・イズ・マイン」に出会ったのもヴィレバンで、そんな衝撃的な出会いも思い出し、ヴィレバン感を出してもらいました。個人的には、手作りのタイトルフォントがお気に入りです(※生保レディ、ヴィレヴァンで販売してほしかったのですが、まだそこまで届けられておりません)

ということで、憧れの「日記シリーズ」が、きっかけのひとつともなった「気がつけば○○」。

私たちとしては、「類書であっても類似書ではない」と考えておりますので、もし、この記事を見かけた書店員さんがいましたら、ぜひ、「日記シリーズ」と同じ棚に置いてもらえないでしょうか?

必ずや相乗効果が生まれ、どちらも手に取ってみる、というお客さんが増えそうな予感が、勝手にプンプンしております(笑)。

現に、生保レディは、「日記シリーズ」のお隣に置かれていた書店さんもあったので、古書みつけのメッセージをくみとってくれている書店員さんもいるのだなと感激いたしました!

著者に会える古本屋兼出版社

最後に、もうひとつお知らせを。

古書みつけは台東区浅草橋にある古本屋兼ひとり出版社です。古本屋のほうは、オープン当初からはスタイルが変わり、今では、〝本が好きな人、本に関する仕事をしている人たちが日替わり店主をつとめる〟古書店へと進化しております。

出版界を目指したいという学生の鈴木さん。読書をしながらのんびりと店主をつとめてくている。

「NIR IDENTITY & BOOK」というブックアイテムのブランドをもつAkaneさん。読書アカウントが大人気。

文学サロン朋来堂の親善大使のゆかちゃんまん。古書みつけのトークライブ配信のMCもつとめる。

古書みつけの2階にある編集プロダクション「株式会社伊勢出版」とつきあいの深い小川さん。フリー編集として様々な本を手がける。

同時に、気がつけばシリーズを出版する出版社でもあるため、著者たちも日替わり店主として店頭に立つ日を設けているのです。生保レディの作者・忍足みかんさんも発売直後から店頭で、自身の本を販売してくれていました(※現在おやすみ中ですがいずれ再会します)。

「気がつけば生保レディで地獄みた。」の著者・忍足みかんさん。いつもは大好きなお描きをしながら店頭に立っている。

本作の畑江ちか子さんも、次作予定の著者も、日替わり店主に賛同してくれているため、〝著者に会える古本屋〟というコンセプトも追加できそうです。

みつけホームページのカレンダーにて営業日、店主がわかるようになっていますので、確認してから遊びに来てもらえたらうれしいです(※著者がいる日に訪れた方は、著者とトークするだけでなく、著者の本をその場で購入していただいたり、お気持ちで何か古本をご購入いただけたら喜びます←ここ結構大事)

古書みつけ営業カレンダー

ちなみに、今回は発売前から著者・畑江ちか子さんは店頭に立ちます。

10月11日、17日、24日の三日間!

取材大歓迎!

そのほか、気がつけば○○賞の関連記事まとめ

ということで、ここまでお読みいただきありがとうございました。

最後に、気がつけば○○シリーズのこれまでの歩みなどがわかる記事をまとめさせていただきましたので、さらなる興味をもっていただけた暁には、これらの記事にも目を通していただけるとうれしいです。

公募開始の告知から、一次選考、最終選考を経ての受賞作決定、そして、最終審査員の皆さんからの講評という順番に記事をまとめさせていただきました。

古書みつけ(気がつけば○○)ノンフィクション賞/出版局からのメッセージ

『気がつけば警備員になっていた。』とは?/古書みつけ(気がつけば○○)ノンフィクション賞

気がつけば166もの応募原稿が届いていた。【古書みつけ(気がつけば○○)ノンフィクション賞】

決定!最終選考へと進むのは4作品【古書みつけ(気がつけば○○)ノンフィクション賞】

最終選考へと進む4作品を発表します【古書みつけ(気がつけば○○)ノンフィクション賞】

書籍化決定!166作品の中から選ばれた第1回目の受賞作品を発表します。

【講評】加藤正人(脚本家)/「第1回古書みつけ(気がつけば○○)ノンフィクション賞」最終選考

【講評】新井英樹(漫画家)/「第1回古書みつけ(気がつけば○○)ノンフィクション賞」最終選考

【講評】本橋信宏(著述家)/「第1回古書みつけ(気がつけば○○)ノンフィクション賞」最終選考

東京新聞に掲載!「気がつけば生保レディになっていた。」忍足みかんさんが新設文学賞受賞

祝!気がつけば発売2週間で重版出来決定!!

「気がつけば」という言葉について考えてみる。【ノンフィクション賞募集中】

そして、今は、第2回目の「気がつけば○○ノンフィクション賞」を公募中です。

ご興味ある方はぜひご応募してみてください!

第2回「気がつけば○○ノンフィクション賞」/原稿募集(締切:2023年12月31日)

「気がつけば生保レディで地獄みた。」好評発売中!

記念すべき第1弾もまだまだ売れています。

ぜひ、未読の方はこちらもあわせてお楽しみください。

「気がつけば生保レディで地獄みた。」2023年4月28日発売決定!

気がつけばめっちゃ長大な記事になっていた。となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!

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