最終選考へと進む4作品を発表します【古書みつけ(気がつけば○○)ノンフィクション賞】
町の小さな古本屋がおくる、商業出版を目指す公募「古書みつけ(気がつけば○○)ノンフィクション賞」は、おかげさまで166もの作品が集まりました。
まずは、こんなにもたくさんの人たちが、貴重な時間を使ってひとつの作品を書き上げ、そしてそれをこの賞にご応募して頂けたことに、深い感謝を申し上げさせてください。本当にありがとうございました!
全作品しっかりと拝読させていただきました。
選考については、双方がこれはと感じた作品をいくつかもちより、互いにその作品の良さ、推す理由をプレゼンし、ふたりであーでもないこーでもないと激論を交わした結果、最終選考にまわしたいと思える作品を4本決定させて頂きました。
最終的には大好きな近所の酒場に駆け込み、ご応募頂いたイロトリドリの人生について呑み語り。
古書みつけが「読書会」をしたらこんな感じになるのかな……。
というわけで、最終選考へと進む4作品を、この場を借りて発表させていただきます。
なお、選考に漏れた方のなかにも「これは!」と思えるものがいくつかあり、それらについては、別でご連絡をさせていただくことになるかもしれません。
いずれにせよ、「どうして私の作品が選ばれなかったのか?」「読んだ感想をお聞かせ頂きたい」など、お問い合わせがいくつかあるのですが、すべてにお答えすることが難しいため、平等性を保つためにもご回答は控えさせていただいていますので、ご了承いただけると幸いです。
とはいえ、我々が選考した基準についてはお伝えできますので、発表の前に選考基準についてお話させてください。
私たちが4作品を選んだ7つの理由
最初におことわりしておきますが、わたくし、職業が「編集者」ではありますが、皆さまの渾身の作品に対して、書評ができるほどそんな大した人物ではありません。
編集者としての実績にしろ、本好きとしての読書量にしろ、まったくもって、大手出版社が公募しているような賞にかかわる審査員とは比べ物にならないほど、質素な素養しか持ち合わせてはいません。
だからこそ、我々がセレクトさせて頂いた4本以外に、「優秀な作品」がなかったのか? と問われれば、「否」とお答えいたします。私たちの審美眼が優れていなかっただけかもしれませんし、なにより、皆さんが日々の生活を捧げて書き上げた作品はそれだけで「素晴らしい作品」であることは間違いなく、どの原稿もキラキラと輝いていたことは確かです。
ですが、今回の賞については、「古書みつけ」が、「古書みつけ」としてシリーズ化していきたいと思える作品を選ばせて頂きましたので、我々の「好み」が多分に影響を及ぼしていることもまた、確かな事実です。
特に、本公募の受賞作は商業出版をすることになりますので、決して少なくない制作費が発生いたします。
それらも含めて、「共に歩いて行ける」「共に歩いて行きたい」、そう思わせてくれた作品にしぼらせて頂きました。
おこがましい話ではありますが、いくつかの選考に当たってのポイントだけ列挙させていただきます。
1、まず、冒頭に、読者を物語へと引き込む魅力があるかどうか
2、あくまでも自分史ではなく、読者がいることを想定して書かれているかどうか
3、「気がつけば○○になっていた。」というお題に沿った形式になっていたかどうか
4、どこかの誰かにささる可能性がある内容かどうか ※少なくとも私たちふたりにささったかどうか
5、出版と同時に映像化も目指すため、内容が映像に適しているかどうか ※物語を読みながら各シーンの絵が浮かぶかどうか
6、この作家さんに会いたいと思ったかどうか ※商業出版をする場合、確実に受賞者とはお会いして今後について進めていくことから、人間的な魅力を感じたかどうか
7、少なくない制作費を捻出して世に出したいと思ったかどうか
以上、7つのポイントに当てはめながら、選出させていただきました。
では、そんな条件を見事クリアした4作品のタイトルと作家名を発表いたします。※「気がつけば」のあとの冒頭文字の50音順にて。
浅草最後の映写になっていた。
「気がつけば浅草最後の映写になっていた。」荒島晃宏
三十九年間無職だった。
「気がつけば三十九年間無職だった。」難波ふみ
生保レディになっていた。
「気がつけば生保レディになっていた。」忍足みかん
無職になっていた。
「気がつけば無職になっていた。」薫
今後の流れについて
以上、4作品になります。
それぞれまったく異なるジャンルであり、いずれも映像化した作品も観たいと思わせる魅力にあふれていました。
すでに著者の方にはご連絡はさせていただき、最終審査へと進むお話はしてあります。※なお、タイトルにかんしては、受賞が決まった時点で、再検討する可能性はあります。
今後ですが、ニュース記事にも記載した通り、これら4作品の原稿を最終審査員の御三方へと送付させていただき、10月から11月にかけてで原稿を読んでいただき、書籍化する作品を選んでいただきます。もちろん、「受賞作ナシ」の可能性もありますが、その有無にかかわらず、年内には発表いたしますので、引き続き「古書みつけ(気がつけば○○)ノンフィクション賞」をお楽しみください。
四季のなかで、秋がもっとも似合うのではないかと感じている「古書みつけ 浅草橋」の店頭にて、涼し気な風を感じながら綴らせて頂きました。