古書みつけ日替わり店主によるはらぺこ短編集「おなかすいたなぁ」発売開始!
町の本が好きな人たちと企画した、「本と、花と、珈琲と。~サン・ジョルディの日の贈り物~」(2024年4月20日(土)開催)というイベントに向けて、古書みつけで1冊の短編を発売することになりました。
執筆陣は、すべて古書みつけで日替わり店主をつとめる本が好きな人たち。
今回は、そのうちのひとり、畑江ちか子さんに、短編集のレビューをしていただきました。
どうぞ、美味しくお召し上がりください。
畑江ちか子がおくる「おなかすいたなぁ」レビュー
「古書みつけのお店番さんたちが書いた、食に関する文章が読みたい」
ある日、古書みつけ代表、伊勢新九朗氏がそんなことを言った。
私にはこの言葉が「なにか食べたい」と聞こえた。
何かを読みたいという欲求と空腹感は、どこか似ているように思う。
誰かがこの本を読み終わったときのことを想像してみると、思わずニヤリとしてしまう自分がいる。
その人は、満腹感でうっとりしているだろうか。
はたまた、8篇の話に食欲を刺激され、じたばたするハメになるだろうか……もしかすると、自分もなにか文章を書いてみたい、おいしいものを作ってみたい、という衝動に駆られる人もいるかもしれない。
そんなふうに感じてくださる方がいらっしゃるならば、執筆陣にとってこれ以上幸せなことはない。
ちなみに私は、とにかくお腹が空いてしょうがなかった。
夜中に読む際は、どうかご注意を。
8人の日替わり店主と収録作品
「ぐうぎゅるる」難波ふみ
まさにタイトルのようにお腹が鳴ってしまいそうになる、こだわり満載の朝ご飯に関するエッセイ。文章からにじみ出る食べ物の温度がたまりません。
「フォロー至難なパンフルエンサー」Akane
〝いいね〟の世界では見つけられないパンのインフルエンサー=パンフルエンサーのお話。いつもは白米派のあなたも、きっとパンが恋しくなるはず。
「Sweet to Sweet~マドレーヌ編~」遠藤ゆく子ままならない日常と優しいお菓子の関係性。甘みから連想する愛についての1篇。食欲だけでなくノスタルジーをも刺激される描写に胸がキュッとなること間違いなし。
「月を食べる。」伊勢新九朗
いや、月は食べられません。そんな常識的な反応をしてしまった方にこそ読んでいただきたい話。そして、皆さんも月を食べたら、是非その味を教えてください。
「味噌ラーメン苦味マシ」畑江ちか子
思い出という調味料にかかれば、甘いケーキもしょっぱくなるし、しょっぱいラーメンも苦くなるんです。青春って、そういうもんです。
「帳簿」及川修吾
これを読んでいる自分自身は、いったい何者なのか? 自己という殻を槍の先でコツコツされるような筆致と、古書店に流れるゆるやかな時間をお楽しみください。
「この恋の焼き上がりまであと×日」忍足みかん
焼き上がったパン、もとい恋の形に思いを馳せると、オーブンを開けるのが楽しみなようなこわいような……甘酸っぱく香ばしい短編小説。
「食べ放題の憂鬱」小塩隆之
都市伝説愛好家必読! かつて世間を騒がせた、牛肉をめぐるアレコレについて。当時を懐かしく思い出しながら焼肉を楽しむのもまた一興ですね。
イベント後は店内にて販売します。
4月20日(土)開催のイベントについては、以下の記事をご参照ください。
まずはこの日に限定30部にて販売しますが、好評であれば、引き続き店頭でも販売する予定です。
ご一読いただけたらうれしいです。
ご馳走様でした!
文/畑江ちか子(「気がつけば認知症介護の沼にいた。」作者)