はらぺこ短編集おかわり「おいしそうだなぁ」好評発売中
古書みつけ日替わり店主によるはらぺこ短編集「おなかすいたなぁ」が好評だったため、「おかわり!」として第二弾「おいしそうだなぁ」が饗されることとなりました。
ボリュームもメニューも増えた今作、彩り豊かな内容にあなたの心もお腹も刺激されること請け合いです。
難波ふみがおくる「おいしそうだなぁ」レビュー
前作「おなかすいたなぁ」は、「気がつけば認知症介護の沼にいた。」の著者、畑江ちか子さんに書いていただいたので、今回は、「気がつけば40年間無職だった。」の著者、難波ふみさんに、各作品の簡単なレビューを書いていただきました。
ちなみに、今作は、表紙のイラストは描きおろしになります。「前回が目玉焼きだったから、今回も目玉焼きをのっけたい」という伊勢のこだわりを具現化した「ナポリタン」なのですが、このイラストがあがってきた際、「ナポリタン小説、私が書きましょうか」と提案してくれたのが、難波さんだったのです。
前作は目玉焼きが表紙なのに目玉焼きの話がなかったので、今回は表紙絵にあわせたものがあるといいなーと思っていたので、うれしいご提案となりました。そして、うまれた作品が「ナポリタンの日」です。
ということで、さっそく、トップバッターとなった難波さん作品から、一挙にご紹介いたします。
11人の「おなかすいたなぁ」
「ナポリタンの日」難波ふみ
苦手な物を食べるのが苦痛なのは大人も子どもも同じ。4月29日のご飯はナポリタンに決定しちゃいましょ
う。
「深夜0時の立ち焼肉」Akane
空腹はイライラを呼ぶ。しかし、空腹は調味料にもなり得る。立ち焼肉、まさに、おいしそうだなぁ。
「Fishes」遠藤ゆく子
小さな世界で暮らす「ぼく」にある日、大きな世界を知る友達ができる。このお話を読むと、泳げない私で
も泳げるような気分になってきます。
「私が辛党になるまで」畑江ちか子
匂いまでしてきそうな異国情緒あふれるエッセイ。人が限界突破するとどうなるのか、が克明に記されてい
てちょっと羨ましいような気にもなる。
「まんまる卵はスクランブルな夢を見るか」伊勢新九朗
卵。たまご……だよねぇ? どんな形であれ、食料とわかったからには食べようとする人間の本能みたいなも
のを感じる作品。
「垢抜けは明日から」大川まこ
成長期の食欲は凄まじい。だけど色々気になるお年頃。だが私は思う。そんなに食べられるのは若いうちだ
けだからたんとお食べ。
「ムラ君」及川修吾
妙に忘れがたい人というのは、いる。だけれど記憶補正ってものは何にでもあるんだろうなぁ。幼少期の憧
れは永遠。
「コンビニの悪魔」華ゆり杏
コンビニって動線を考えられて作られていると思うと、悔しい気持ちになる。でも誘惑に溺れてみるのも悪
くないじゃない。
「淑女な姉はジャンキィな愛を喰む」忍足みかん
女子校って良い匂いがしそう。姉妹制度という設定にもドキドキ。乙女だってお腹はすくのだ。マリア像も
微笑んで見つめているはず。
「おいしいため息」生天目安昭
ため息にも色々ある。どんな人にも苦労はある。でも出来れば、おいしいため息ばかりついて生きていきた
い。
「フライドチキン与太話」小塩隆之
KFCは数年に一度、食べたくなる。個人的にそういう怪しい味付けがされているんだと思っている。ポゴ
のTシャツを持っている私、歓喜な話。
以上、イロトリドリの味が楽しめるおいしい短編集、ぜひともお召し上がりください。
「おなかすいたなぁ」と共に、古書みつけにて販売中。
ここでしか手に入らないので、お土産にしていただけたらうれしいです。
食品たちは腐ってしまうこともありますが、食ネタ本は腐らないので、在庫がある限り、お待ちしております。
シリーズはやっぱり三部作?
さて、古書みつけの日替わり店主による短編集は第二弾まで発売しましたが、誰が言ったか知らないけれど、だいたいシリーズ化されたものは、三部作となるのが世の常というもの(?)せっかくなので、冷めないうちにサクッと第三弾もつくってしまおうと、誰に相談するでもなく、2025年の文学フリマ東京に向けて制作をするつもりになっております(伊勢)。
三部で完結させておきつつ、その後の新展開なども考えているところですので、引き続き、楽しんでもらえるよう、食欲と読書欲が満たされるような本をつくっていきたいと考えています。
さあさ、さあさ、召し上がれー。